言い伝え。
足場の悪い現場で今でも主人が言うのが
「敷居を踏まない」ということ。
昔の民家の出入り口は、木の敷居に溝を掘り、引き戸を開け閉めしていました。
そこで、敷居が踏まれてすり減ったり、溝に泥や砂が入るのを嫌い、
「敷居は親の頭」
と、言って親と同じように敷居を大事にして、
踏まないようにと、子供にしつけていました。
しかし、敷居が石や金属になり、すり減る心配がなくなったからでしょうか、
敷居を踏んではいけない
という意識すらなくなったように感じます。
おそらく親の世代も「敷居は親の頭」と言われても、ピンとこないのかもしれません。
前の世代からも伝えられていなかったこともあるでしょう。
何十年、何百年と生きてきた木の生まれ変わりである建物や、
それを作った職人さんたちに感謝し、
多くの人やモノによって生かされていることを知る。
敷居を踏まない行為と共に、
なぜそうなのか、その理由まで考えて伝える。
そのような世代間の積み重ねが、人間の営みだと思います。
資源を大切にしなければならない時代だからこそ、
まずは足元の敷居から見つめ直して、
後世に伝え遺すものを大切にしていきましょう。
伝えゆく昔からの言い伝え。
深い意味があるのですね。
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